特定技能制度とは

特定技能制度とは

特定技能制度は、人手不足分野で一定の技能を持つ外国人が就労できる在留資格で、企業には生活支援などの義務があります。支援方法は「登録支援機関」に委託する方式と、企業が自ら行う「自社支援」があり、近年はコスト削減や人材定着を目的に自社支援へ切り替える企業が増えています。

特定技能|制度の全体像・登録支援機関と社内での支援(自社支援)の違い

― 外国人材と企業をつなぐ、新しい在留資格の仕組み ―

 

1. 特定技能制度とは

 

「特定技能」とは、深刻化する人手不足を背景に、一定の専門性や技能を持つ外国人が日本で働くことを可能にする在留資格です。2019年4月に創設され、外食業・宿泊業・介護・建設・製造業など、現在では16分野以上の産業で受け入れが認められています。
制度の目的は、単なる労働力確保にとどまらず、外国人が日本社会に円滑に適応し、安定して就労できる環境を整えることにあります。そのため、企業(=受入機関)は、外国人が安心して生活できるように、就業面だけでなく生活面でも一定の「支援」を行う義務を負っています。

 

この「支援」をどのように行うかによって、登録支援機関による支援 と 社内での支援(自社支援:受入機関による直接支援) の2つの方式に分かれます。

 

2. 「登録支援機関」による支援とは

 

多くの企業が最初に選択するのが、登録支援機関に支援を委託する方式です。
登録支援機関とは、出入国在留管理庁に正式に登録された専門事業者で、企業の代わりに特定技能外国人への支援業務を行う機関のことを指します。

 

登録支援機関が行う支援は、銀行口座の開設や住居探し、生活オリエンテーション、日本語学習の機会提供、相談対応など、外国人の生活全般にわたります。
企業にとっては、これらの手続きを専門家に任せられる安心感がある一方で、支援委託費用が発生します。1人あたり月額で2~3万円程度が一般的で、外国人の人数が増えるほど企業の負担も大きくなっていきます。
また、すべてを外部機関に任せることで、受入会社として外国人の生活状況を十分に把握できない、支援の質にばらつきがある、コミュニケーションが間接的になる――といった課題も生じやすくなります。

 

3. 「自社支援」とは何か

 

もう一つの選択肢が、「自社支援」です。これは、企業自身が特定技能外国人への支援を行い、登録支援機関に委託せずにすべてを社内で外国人の支援を完結させる方式です。
入管庁では、企業が自社で支援を行うことを認めており、一定の条件を満たせば登録支援機関に依頼する必要はありません。条件としては、外国人を直接雇用していること、支援責任者や支援担当者を社内で選任していること、そして入管庁が定める「10の支援項目」を確実に実施できる体制を整えていることが求められます。

 

自社支援の大きな特徴は、コストを抑えながら、受入会社の社内文化や風土に合った支援を柔軟に行える点にあります。また、外国人本人との距離が近くなるため、相談やフォローが迅速にでき、定着率の向上にもつながります。
支援を自社の責任で行うことで、社内の意識が高まり、外国人材を「戦力」として長期的に育成する土台が生まれます。
自社支援は、企業自らが主体となって外国人を支援する方式であり、社内に実務知識を蓄積できるという大きな利点があります。ただし、入管庁の定める基準を満たす体制整備や記録の管理が求められるため、制度理解と実務運用の準備が欠かせません。

 

多くの企業は、最初は外部委託に頼る方法で登録支援機関に依頼し、制度や支援の流れを理解したうえで、自社支援へと切り替える段階的なステップを選んでいます。自社支援は一見ハードルが高いように見えますが、正しい知識とサポートがあり、社内での体制整備ができれば、決して難しいものではありません。

 

 

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