2027年から本格的に運用が始まる「育成就労制度」では、新たな就労形態として「労働者派遣等管理型育成就労」という仕組みが導入されます。これは、主に農業や漁業のように季節によって仕事量が変わる業種を想定した制度で、外国人労働者が派遣の形で複数の事業所で働けるようにするものです。ただし、単なる派遣ではなく、教育・育成の観点や生活面のサポートも含めた、安心して働ける仕組みとして設計されています。
まず、この制度の対象となるのは、仕事の繁忙期と閑散期の差が大きい分野です。派遣元となる事業者は、その分野に十分な知識や経験を持っていることが求められ、さらに役職員1人あたりの受け入れ人数が40人未満であること、そして最低2名以上の役職員が配置されていることが条件となります。派遣先の事業所は最大3か所まで利用可能ですが、派遣元でも働く場合は最大2か所までとなります。また、どの勤務先でも同じ技能・仕事内容で就労することが大前提となっています。
受け入れ人数にも上限があります。派遣元と派遣先それぞれに人数枠が設定され、そのうち「少ない方の人数」が実際の上限となります。つまり、受け入れ体制をしっかり整えた上で、無理のない運用を行うことが求められているわけです。
制度の適正な運用を担保するため、「監理支援機関」による監査も義務付けられています。原則として3か月に1回以上、派遣元と派遣先の双方に対し、労働環境や支援体制が適切かどうかを定期的に確認します。制度として「管理ありき」ではなく、「支援ありき」で設計されている点が特徴です。
生活面でのサポートも重要なポイントであり、派遣先が変わることで移動や転居が必要になる場合には、育成就労実施者や監理支援機関が費用負担や必要な支援を行い、安心して移動できるよう配慮しなければなりません。また、派遣先の都合で就労ができなくなった場合には、派遣元が休業手当として平均賃金の60%以上を支払う必要があります。収入面での急激な不安定化を防ぐ仕組みが整えられているのは、外国人材にとっても安心材料といえるでしょう。
この制度は、人手不足が深刻化する分野(農業や漁業のように季節によって仕事量が変わる業種)で柔軟に働けるようにしつつ、サポート体制や労働条件の保護をしっかり組み込んだものです。受け入れる企業側には一定の責任が求められる一方、外国人労働者にとっては、働きながら安心してスキルを磨ける制度設計となっています。
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