特定技能外国人の「住居」はどうすればいいのか?

特定技能外国人の「住居」はどうすればいいのか?

特定技能1号で外国人を初めて受け入れる企業向けに、住居の考え方や準備の進め方などのポイントを実務目線で分かりやすく解説します。

特定技能外国人を初めて受け入れる企業が知っておきたい「住居」の考え方

「特定技能で外国人を雇用したいが、住居はどうすればいいのか分からない」
これは、初めて特定技能制度を検討する企業様から最も多く聞くご相談の一つです。

 

在留資格の手続きや雇用条件には情報が多く出回っていますが、住居については「社宅が必要なのか」、「基準はあるのか」、「入管にどう説明すればいいのか」といった点が分かりにくく、不安を感じる担当者の方も少なくありません。
特定技能1号では、外国人が日本で安定した生活を送れることが前提とされています。そのため、住居の確保は制度上も重要なポイントであり、審査やその後の届出においても確認される事項です。ただし、必ずしも会社が立派な社宅を用意しなければならないわけではありません。

 

会社が住居を用意しなければならないわけではない

 

まず押さえておきたいのは、特定技能1号において「会社が住居を提供しなければならない」という決まりはないという点です。実務上は、会社が借り上げたアパートを社宅として提供するケースが多いものの、本人名義で賃貸契約を結ぶ方法や、親族・知人宅に住む方法も認められています。

 

ただし、日本の賃貸市場では外国人単独での契約が難しい場面が多いため、結果的に会社や登録支援機関が物件探しや契約手続をサポートすることになります。ここで重要なのは、「誰の名義で借りるか」よりも、「入管に対して、生活の安定が説明できるかどうか」です。

 

住居の広さや設備はどこまで求められるのか

 

「何㎡以上でなければならない」、「必ず一人一部屋でなければならない」といった明確な数値基準は、法律上は定められていません。しかし、実際の審査や運用では、居住環境が適切かどうかが総合的に見られています。例えば、「支援計画書」では居室の広さは一人当たり7.5㎡あるか、また寝室の広さは一人当たり4.5㎡あるかのチェックがされます。
つまり、ワンルームの部屋に複数人が生活しているような場合や、二段ベッドを詰め込んだ寮のような形態は、生活の安定性や安全性の面から問題視されやすくなります。

 

初めて受け入れる企業の場合、「日本人社員が住んでも違和感のない住居か」という視点で考えると、大きな判断ミスは起こりにくくなります。

 

〇家賃や光熱費の扱いで注意すべき点
住居を会社が用意する場合、家賃や光熱費を給与から控除すること自体は可能です。ただし、ここには注意が必要です。控除額はあくまで実費相当であり、近隣相場と比べて著しく高額であってはいけません。
また、控除内容は給与明細で明確にし、本人にも「支援計画書」に明記し、母国語などで十分に説明する必要があります。住居費を不透明な形で差し引いてしまうと、「実質的な賃金引き下げ」と判断されるリスクがあるため、慎重な対応が求められます。

 

特定技能ならではの「支援」と住居の関係

 

特定技能1号の大きな特徴として、受入れ企業には外国人への支援義務が課されています。住居に関する支援もその一つで、外国人が物件を探す場合には、その同行や契約内容の説明、入居後の生活ルールの案内などが含まれます。
そのため、支援計画書には「どのように住居を確保し、どのような支援を行うのか」を具体的に記載する必要があります。ここが曖昧だと、申請時に補正を求められたり、定期届出の際に指摘を受けたりする原因になります。

 

初めての受け入れで失敗しないために

 

特定技能1号の住居については、「最低限の基準を満たしていればよい」という考え方よりも、「第三者に説明できる状態かどうか」が重要です。
初めて外国人を受け入れる企業にとっては負担に感じられるかもしれませんが、最初にしっかり整理しておくことで、その後の受入れや人数拡大が格段にスムーズになります。

 

特定技能制度は、人手不足解消の有効な選択肢である一方、受入れ側には「雇う責任」だけでなく「生活を支える視点」も求められます。住居の問題を軽視せず、制度の趣旨に沿った形で準備を進めることが、長期的に安定した雇用につながっていくと言えるでしょう。

 

特定技能外国人の採用にご興味のある企業様は、是非ご相談ください。
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