特定技能外国人の受け入れを検討するときに不安になるのが、「登録支援機関に外部委託すると、実際いくらかかるのか」という点です。制度の概要はある程度分かったとしても、採用や支援のコストが判らず、社内での稟議や予算取りが進まないというケースも少なくありません。
結論から言えば、登録支援機関への外部委託の費用はある程度の相場がありつつも、契約内容や支援範囲によって差があります。このブログでは、実務でよく見られる金額感をベースに、注意すべきポイントも含めて整理していきます。
登録支援機関の費用は、大きく分けて「初期費用」と「月額の支援委託料(ランニングコスト)」の2種類があります。
初期費用は、特定技能外国人を新たに受け入れる際に一度だけ発生する費用です。在留資格の申請手続きに関するサポートや、事前ガイダンス、生活オリエンテーションなどが含まれることが一般的です。実務上の相場としては、1人あたりおおよそ15万円から20万円程度に設定されているケースが多いと思います。
一方、月額の支援委託料は、受け入れ後に継続的に発生する費用です。これは、特定技能制度で義務付けられている「10項目の支援」を登録支援機関が代行する対価となります。
月額の支援委託料については、1人あたり月2万円〜3万円前後がもっとも一般的な価格帯です。出入国在留管理庁の調査でも、平均額は月28,000円台とされており、多くの企業がこの水準で契約していることがわかります。
支援内容としては、定期面談の実施、生活相談やトラブル対応、日本語学習機会の提供、そして入管への定期報告書類の作成などが含まれます。
一見すると「高い」と感じるかもしれませんが、これらの業務を自社で全て行う場合の業務負担や、制度理解の負担を考えると、外部委託を選択する企業が多いのも現実です。
注意したいのは、すべての支援が月額費用に含まれているとは限らない点です。登録支援機関によっては、支援項目ごとに別料金を設定している場合もあります。
例えば、事前ガイダンスや生活オリエンテーション、入出国時の送迎、行政窓口への同行支援などは、1回ごとに数万円の費用が発生することがあります。特に遠方への出入国時の送迎などは別途費用が掛かることが多いようです。
そのため、見積もりを確認する際には「月額費用に何が含まれていて、何が別料金なのか」を必ず確認することが重要です。
もう一つ見落としがちなのが、人材紹介会社を経由して特定技能外国人を採用する場合の紹介手数料です。
この場合、登録支援機関への費用とは別に、年収の20〜30%程度の紹介料が発生するのが一般的ですので、大きな負担となります。ただ、この費用は特定技能外国人に限らず、従業員を雇用する際に発生するコストと考えた方が良いでしょう。
「登録支援機関の費用だけを見ていたら、想定よりコストが膨らんだ」というケースは実務でもよくあります。採用から支援までの全体コストを事前に整理し、概ねの予測を立てておくことが、後悔しないためのポイントだと思われます。
特定技能制度では、支援に関する費用を外国人本人に負担させることは禁止されています。月額費用であっても、初期費用であっても、すべて受け入れ企業側の負担となります。
「給与から天引きすれば...」というのは、制度違反につながる可能性があるため注意が必要です。
費用相場を把握すると、どうしても「できるだけ安いところを選びたい」と考えがちです。しかし、支援体制が不十分な場合、定期報告の漏れや外国人とのトラブル対応不足が原因で、結果的に企業側のリスクが高まることもあります。
対応言語、支援実績、行政処分歴の有無、早期離職時の返金規定など、金額以外の点も含めて総合的に判断することが重要です。
一定の体制を整えれば、登録支援機関に外部委託せず、自社で支援を行う「自社支援」という方法も可能です。その場合、月額2〜3万円のランニングコストを削減できるため、複数名を受け入れる企業ほど効果は大きくなります。ただし、制度理解や書類対応、外国人対応の体制構築が必要になるため、最初は登録支援機関を利用し、将来的に自社支援へ切り替えるという段階的な進め方を選ぶ企業も増えています。
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