外国人材の採用を検討している企業の方でも、特定技能1号は聞いたことがあるけれど、2号はあまり聞いたことがない方も多いかと思います。
特定技能2号は制度開始からしばらくの間、建設と造船・舶用工業の2分野に限られていたため、一般企業の認知度はまだそれほど高くないというのが実情です。
しかしここ数年で大きな制度改正が行われ、特定技能2号の対象分野は一気に拡大しました。外食業、飲食料品製造業、農業などでも2号が取得できるようになり、人数も徐々に増えています。
まず、特定技能2号がどういう在留資格なのかを簡単に説明いたします。
特定技能1号は「一定の技能を持つ人材」で、在留できる期間は通算5年が上限となっています。一方、特定技能2号はより高度で熟練した技能が求められ、更新上限がありません。配偶者や子どもの帯同が認められる点も、企業・外国人本人双方にとって大きなメリットとなっています。
制度開始当初は取得できる分野がごく限られていたため、該当者は少数でしたが、2023年の制度拡大を機に情勢は大きく変わり始めています。
出入国在留管理庁の2025年6月末時点の速報値によると、特定技能2号で在留する外国人は3,073人に達しています。これは、2024年12月末の832人から半年で約3.7倍に増えた計算となり、制度拡大後の増加スピードの速さがよく分かります。
背景には、制度開始から5年が経過し、1号の在留期限(最大5年)を迎える人が増えてきたことがあります。長期的に日本で働きたい人材が2号試験に挑戦し、企業側も中核的な人材として育成したいケースが増えているからです。
分野別の人数(概数)は以下のとおりです。(2025年6月末時点)
2号の導入が早かった建設分野が引き続き多いものの、農業・飲食料品製造業・外食業といったサービス・製造系分野でも着実に人数が増えています。特に外食業については、店舗運営の中心的役割を担う人材が2号へとステップアップする動きが見られます。
なお、介護分野については「介護」という専用の在留資格があるため、特定技能2号の対象外です。
外食業で特定技能2号が導入されたのは、2023年6月の閣議決定がきっかけです。
これにより、外食業を含む9分野で2号の取得が可能となり、2024年以降は順次、試験実施も本格化し、現在はすでに合格者が出始めています。
「厨房やホールスタッフの外国人が店長候補へ成長し、長期的に働き続けられる」というキャリアパスが見えるようになったことで、企業にとっても採用・人材定着の追い風になりつつあります。
外食業の特定技能2号を取得するには、主に次の2点を満たす必要があります。
単に現場作業ができるだけではなく、「店舗を任せられるリーダー」としての資質が問われる点が、1号との大きな違いです。
試験は、学科試験+判断等試験の2本立てであり、食品衛生管理・調理管理・接客・労務管理など、店舗運営全般に関する知識が幅広く問われます。
例えば、
など、店長やマネージャーとして必要な知識が中心となっています。
合格率はおおむね20〜40%程度とされ、決して易しい試験ではありませんが、日々の実務経験がしっかり生きる内容となっています。
政府は今後5年間で特定技能の受け入れをさらに拡大する方針を示しています。その中で2号の役割は、企業現場の「中核人材」としてますます重要度を増していくと思われます。
特に外食・製造・農業といった現場では、日本人スタッフとのチーム連携や教育係を担える人材が強く求められています。2号制度は、そうした優秀な外国人材が長期的に働き続けられるための重要な仕組みと言えます。
特定技能2号はまだ一般的な認知度は高くないものの、制度拡大を背景に急成長している在留資格です。外食業でも取得が可能となり、店長クラスの人材育成や人手不足解消につながる制度として、今後さらに注目度が高まっていくと思われます。
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