「育成就労」は、これまでの技能実習制度の課題を見直し、外国人の育成や権利保護をより大切にした制度として作られています。単に働いてもらうのではなく、日本で学びながら成長してもらうという考え方をよりはっきりさせた点が大きな特徴です。
⇒徴収する費用の算出基準を明確に定め、インターネットに公表
⇒送出機関に支払う費用の上限設定(月給の2か月分以内) 等
※送出機関とは、日本で働きたい外国人を母国で募集・選抜し、日本へ送り出す役割を担う現地の機関のことです。
⇒許可要件の厳格化(債務超過無し、常勤役職員1日当たりの“育成就労実施者”や“育成就労外国人”の上限設定等)
⇒外部監査人(弁護士、社会保険労務士、行政書士)の設置
※企業(受入れ機関)と外国人材をつなぎ、育成計画の作成支援・監査、就労の監理、転籍支援などを行う、国から許可を受けた営利を目的としない法人のことです。
⇒日本語の向上のための日本語講習会の受講機会の提供等
※育成就労外国人を受入れる企業等の事です。
⇒素行善良要件等を追加
まず、外国人を受け入れる企業やサポート機関に対して、今まで以上に厳しい基準が設けられます。例えば、外国人を送り出す海外の機関(送出機関)については、手数料の内訳を公開することが義務付けられたり、過去に不適切なお金のやり取りがないかどうかも確認されるようになります。日本側で支援を行う機関(監理支援機関)についても、健全な経営をしていることや、適切な人数体制でサポートできることが求められます。これによって、不透明な運営やトラブルを防ぐ狙いがあります。
次に、外国人本人の金銭的な負担を軽くし、外国人を雇用する会社等(育成就労実施機関)は日本語力を身につけやすい環境を整えなければならない点も重要です。来日前に支払う費用については、給与の約2か月分を超えてはいけないという上限が設けられます。また、外国人に対しては、日本で働き始める前には、基本レベルの日本語力が求められ、就労期間中もさらに日本語を学ぶ機会が提供されることになります。
さらに、これまで「技能実習制度」では難しかった「転職」にあたる職場移動が、一定の条件を満たせば認められるようになります。ある程度の期間を同じ職場で勤務し、技能や日本語力が一定水準に達していれば、自分の意思で新しい職場を選ぶことが可能になります。長期間転籍が制限される分野では、賃金アップなどの待遇改善も検討されており、働きやすい環境づくりが意識されています。
また、人手不足が深刻な地方では、優良な機関を通じて受け入れている場合、受入人数の枠が広がるなどの配慮も行われます。加えて、決められた業務分野の中であれば、より柔軟に仕事の内容を広げられるようになり、企業にとっても実務上の使い勝手が良くなることが期待されています。
制度変更の背景には、「学びながら働く」という本来の目的を実現したいという考え方があり、「育成就労」は外国人にとっても企業にとっても、より安心して働き続けられる制度へと進化していく方向性が示されています。
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