育成就労外国人の要件、待遇とは?

育成就労外国人の要件、待遇とは?

育成就労制度で外国人を受け入れる際の外国人側の要件や、日本人と同等以上の待遇ルールをわかりやすく説明します。受入企業が押さえるべき重要ポイントをまとめました。

育成就労外国人の要件と待遇をわかりやすく解説

日本で仕事をしながら技能や知識を学び、成長していく外国人の方を受け入れる制度が「育成就労制度」です。この制度を利用するためには、外国人本人の要件だけでなく、受け入れる企業側にもいくつか守るべき条件があります。ここではまず、「外国人の方の要件」について大まかに説明いたします。

 

1.育成就労外国人になるための要件

 

育成就労外国人として働くためには、次のような条件を満たしている必要があります。

 

まず、年齢は18歳以上で、健康状態が良好であることが求められます。そして、「素行が善良であること」も重要なポイントです。過去に重大な法令違反があるなどの場合には対象外となることがあります。
また、日本で働くためには有効な旅券を持っていることも必要です。

 

受入企業との関係性についても要件があります。例えば単独型の場合、すでに海外の同じ事業所で1年以上働いている正社員であり、その事業所から日本へ転勤する形で来日するケースなどが該当します。また、監理型の場合には、日本の公的機関などの推薦を受けていること、そしてこれまでの勤務先で1年以上継続して働いた実績があることなどが求められます。

 

技能実習制度では「前職要件」、「復職要件」と呼ばれる条件がありましたが、これらは廃止されています。制度は少しずつ改善され、より利用しやすい形に整理されています。

 

2.育成就労外国人の待遇の基本ルール

 

次に、受け入れる企業側が守らなければならない「待遇面のルール」についてです。育成就労外国人は、日本で一生懸命働き、学ぶ立場にあります。そのため、日本人社員と比べて不利な扱いをしてはいけない、という考え方が根本にあります。
まず大切なのは、給与水準です。育成就労外国人に支払う賃金は、「同じ仕事をする日本人と同等以上」である必要があります。安い人件費を目的に受け入れる、ということは許されていません。
また、外国人であることを理由に、賃金決定の場面で不利な扱いをすることも禁止されています。評価制度や昇給の基準なども、日本人社員と同じ考え方で運用することが求められます。
さらに、母国への一時帰国を希望する場合には、必要な休暇を取得できるよう配慮することになっています。家族と離れて日本で働く育成就労外国人にとって、安心な制度となっています。
そして、転籍(職場変更)が1年を超える場合には、技能向上やキャリア形成を考えた運用が必要とされています。

 

受け入れ企業に求められる姿勢

 

育成就労制度は、「単なる労働力として受け入れる制度」ではありません。外国人が日本で働きながら成長し、その後のキャリアにつなげていくための制度ですので、「日本人と同等の待遇」、「差別のない職場環境」、「学びと成長の機会の提供」、「安心して生活できる環境づくり」がとても重要です。
人手不足解消だけでなく、国際的な人材育成という観点からも重要な制度ですので、制度の趣旨を理解し、適切な運用を心掛けることが求められることになります。

 

外国人が日本で技能を学びながら働くことを目的とした「育成就労制度」では、受け入れ企業のことを「育成就労実施者」と呼びます。つまり、実際に外国人を雇用し、現場で一緒に働く会社や団体のことです。この制度では、外国人の方が安心して働き、適切な指導を受けられることが重要視されており、そのために企業側にも一定の体制づくりが求められています。

 

1.育成就労を行わせる体制

 

まず必要となるのが、育成就労に関する責任体制です。企業の中には、育成就労全体を統括する「育成就労責任者」を置くことになっています。この責任者は、常勤職員であり、過去3年以内に養成講習を修了していることが必要になります。そして、実際の現場で外国人に仕事を教える「育成就労指導員」も配置します。指導員は、従事している分野で5年以上の経験があり、同じく直近3年以内に養成講習を受講していることが条件です。さらに、仕事以外の生活面をサポートする「生活相談員」も必要で、こちらも養成講習の修了が求められています。

 

つまり、企業内部に「仕事を教える人」と「生活を支える人」、そしてそれらをまとめる「責任者」という三つの役割をきちんと整えることがポイントになります。外国人が慣れない環境で働くにあたり、仕事だけでなく生活面でも相談できる体制があるかどうかが重要視されている、という考え方です。

 

2.業務の運営の基準

 

次に、事業運営に関する基準についてです。育成就労実施者となる企業は、外国人を適切に管理し、これまでに重大なトラブルを起こしていないことが求められます。例えば、過去1年以内に、管理体制の不備などが原因で外国人が行方不明になってしまった事例がある場合には、問題視される可能性が高いです。また、外国人労働者を不当に解雇したようなケースがある場合も、原則として要件を満たさないことになります。
もちろん、労働関係法令や社会保険に関する法律を守っていることも大前提です。さらに、社会通念上、不適切と思われる金銭や物品の授受を行っていないことや、地方公共団体などから協力を求められた際には、制度の円滑な運用のために協力する姿勢も求められます。

 

外国人の生活状況についても、企業として一定の把握を行うことが求められています。健康であるか、生活に困っていないか、日本での暮らしに問題がないかなどを確認し、必要があれば相談や支援につなげていく姿勢が大切です。また、労働条件などの重要な説明については、対面だけでなくオンラインで行うことも認められており、状況に応じた柔軟な対応が可能となっています。

 

このような要件を見ると、少し難しそうに感じるかもしれませんが、制度の根底にあるのは「外国人の方が安心して学びながら働ける環境を整えてほしい」という考え方です。適切な人材配置や法令遵守、そして人として尊重する姿勢があれば、特別なことではないと理解してください。

 

これから育成就労外国人の受け入れを検討されている企業様にとって、制度の仕組みや求められる体制を知っておくことはとても大切です。準備の段階からしっかり理解し、不安なく制度を活用できるようにしていくことが大切だと思います。

 

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